地域の食材を最大限に活かす
小麦畑の挑戦
地産野菜 小麦畑
江畑 政明
問題意識から始まったピクルス作り。その奥深さにのめり込む
滋賀県長浜市元浜町にある「地産野菜 小麦畑」の店主、江畑政明さんは、地元の農家と密接に連携し、地元産野菜を使用したピクルスを製造・販売している。もともとカフェを運営していたが、余剰野菜を活用するため、ピクルスの製造を始め、地産地消の循環を作り上げた。
江畑さんがこの事業を始めたきっかけは、地元の農家が季節ごとに余らせる野菜をなんとかできないかという問題意識からだった。
「農家さんから、冬には大根が余るし、夏にはきゅうりが大量に出るという話を聞いたんです。それをどうにか加工して活用できればと思いました。そこで思いついたのが、長期保存が効くピクルスでした」
小麦畑で作られているピクルス。さまざまな食材で作られている。
最初は、キャベツやきゅうりなどの定番の野菜を使っていたが、見た目や味にこだわりを持つ江畑さんは、より多くの消費者に手に取ってもらえるために、多種多様な野菜を用いて商品の改良を重ねた。
地元野菜を活かした新たな挑戦
江畑さんが最初に取り組んだのは、地元産の野菜をそのままピクルスとして商品化することだった。しかし、ただシンプルに野菜をピクルス液に漬けるだけでは、見た目や風味に不安があったため、江畑さんは様々な工夫を凝らした。
「最初に挑戦したのはキャベツや大根でしたが、見た目がどうしても良くならなかったんです。やっぱり、手に取ってもらうには見た目が大事だと思って、そこに注力しました」
また、ピクルスに使う野菜の選定にもこだわり、地元の珍しい野菜や旬のものを取り入れることを積極的に行った。
その中でヒットしたのは、まさかのあまり馴染みがない「ネギ」を使ったピクルスだった。
「ネギを使ったピクルスは、最初は考えもしませんでしたが、焼き目を入れてごま油で香りを付けたことで、非常に美味しく仕上がりました。この一品がうちの商品ラインに新たな風を吹き込んだんです」
ネギを利用したピクルスは、LUFTの製品でも提供していただいている。
地元産の野菜を活かすOEM生産
江畑さんがピクルスの生産を始めた背景には、地元農家との協力がある。地元で収穫される旬の野菜を活用し、それをOEM(相手先ブランド)で生産することで、地域全体を盛り上げていく狙いがある。
「地元の野菜を使うことで、地域農家の支援にもつながるし、地産地消の推進ができると思っています。またそれは、自分たちだけの活動として捉われず、OEMとして他の企業との協力も進め、より多くの人に地元の野菜を届けられたらいいなと思っています」
江畑さんは、ピクルスだけにとどまらず、他の加工品にも目を向けており、今後は果物やその他の野菜を使った新しい商品開発を進めていく予定だ。
持続可能な地産地消を目指して
特に力を入れているのは、「持続可能な地産地消」である。地元産の野菜を使うことで、農家と消費者が直接つながり、地域全体の発展につながると信じている。
「何が儲かるかではなく、何が正しいかを追求していくことが大事だと思っています。地元産の野菜を使って、地域に貢献しながら、持続可能な形で商品を作り続けていきたいです」
今後も江畑さんは、地元産野菜を活用した商品を提供し続け、地域の農家とともに新しい挑戦をし続ける。ピクルスをはじめとする地元の特産品が、多くの人々に喜ばれることを目指している。
未来へ向けたさらなる挑戦
江畑さんは今後、地元野菜を使用したピクルス以外にも新しい商品ラインの展開を視野に入れている。果物や他の野菜を使ったピクルスの開発に加えて、健康志向の消費者にもアピールできるような商品開発を進めていくつもりだ。
「新しい野菜を使ったピクルスの開発にも挑戦していますし、他の加工品にも取り組んでいきたいです。地域ごとの特徴を生かして、新しい商品を生み出していきます」
地元の食材を最大限に活かし、地域に根差した商品作りを進める「地産野菜 小麦畑」の挑戦は、今後さらに広がりを見せるだろう。
About People
滋賀県長浜市元浜町在住。元デザイン会社の経営者から、地元の農産物を活かす加工品の製造業に転身。2020年に「地産野菜 小麦畑」を開店し、地元野菜を使用したピクルスを製造・販売している。農家と連携し、余剰野菜の活用を図りながら、地元の農業振興にも貢献。持続可能な地産地消を目指し、今後はOEM生産を通じて全国展開を視野に入れた事業拡大を目指している。学生時代はデザインを学び、その経験を活かして商品デザインにも力を入れている。
関連ワード
地産地消(ちさんちしょう)
地元で生産された食材を地元で消費すること。地域経済の活性化や、環境負荷の軽減を促進する取り組みとして、地元の農産物を活かした商品作りが注目されています。
OEM生産(オーイーエムせいさん)
他社のブランドで製品を生産すること。江畑政明さんが地元の農産物を活用して他社向けにピクルスを生産しているように、自社製品を他社ブランドとして製造する方法です。